WSプログラムデザインは指導案!?
WSのプログラムをデザインする時の視点は以下の通り(一例)。
1.ねらい
2.参加者情報(ファシリテーターが用意したプログラムを実施できる状態かなど)
3.アクティビティデザイン(何をなんのために、どうやって。時間/場所/人数/気候/どんなメンバーか/男女比/年齢層など)
4.導入(インストラクション)〜展開〜まとめ(リフレクション)
5.評価(何が効果をあげたか、ねらいに迫れたか、改善するとしたら)
指導案との共通点が多いことに気づく方も多いかと思います。
アクティビティは数分程度で行えるものから、じっくり数十分かけて行えるものまで様々あります。
そのアクティビティをどう提供するかは、授業をどうデザインするかとつながっています。
「アクティビティ」という教材を研究すること、提供することで授業づくりに生かせる学びがあります。
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安心安全な環境の中でチャレンジし、自身の日常に生かす。そんな体験ができます。
参加お待ちしております。
グループサイズ
WSでグループワークをする際の適正なグループ人数は8〜15人と言われています。
なので、クラスでアクティビティを実施する際にはグループサイズの微調整を意識するとよいです。
例えば1クラス30人だとして。
課題解決型のアクティビティをする場合、10人×3チームに分けるのも手です。
理由は、
人数が多いと関わり度合いが薄くなる
傍観者が増える
意思決定が難しい
などが挙げられます。
また、クラスの状態把握も大切な視点です。
グループワークの前段階のペアワークが成立しない状態ではグループワークは難しいように、クラスの状態に応じて何をどんな形で、どんなメンバー構成でやるのかを考える必要があります。
プログラムやアクティビティの目的に応じてその都度グループサイズを考えていくことも、プログラムをデザインするうえで大切な要素の一つです。
盛り上げるには?
活動(アクティビティなど)を提供する際に、参加者のモチベーションをどう引き出すか。
指導者は、勝ち負けや他者との無用な競争を煽ることでや、意味を感じにくい時間設定などの何かしらの制限でモチベーションをついついコントロールしがちな気がしています。
それは、WSのような場だけでなく学校においても。
体育の時間にゲーム性の高い活動(バスケや野球、サッカーなど)をした後に、思考が勝った負けたにしかならない子供たちがいます。
でもこれは指導者側の問題。
スポーツの場合は性質上勝った負けたは当然出てきますが、それだけではない部分にいかに目を向けられるよう働きかけるか。
競争<共走の考えを入れると、勝った負けたの対象が「相手」から「自分」たちに変わってきます。
例えば対戦するのは過去の自分たち。前回の自分たちをどう越えていくか、そのためにできることとは?
そこでは乗り越えられなかった壁を越えようと、結束して課題に取り組む姿が見られることでしょう。
また、競争相手を架空のライバルとして設定するのも手です。
「これから第1054576回ワープスピード大会をします!これまでの最高タイムは◯◯県立ホニャララ小学校です!」のように。
競争をできるだけ使わずに(または上手く使って)モチベーションを引き出す。
ファシリテーターとして心掛けたい視点です。
マニュアルにはない面白さ
アクティビティを使ったワークショップは、こうすれば上手くいく!というマニュアルがあればいいけどない涙
プログラムデザイン段階ではモチロン様々な計画を立てますが、実際その通りにやることはまずありません。
実際のプログラムになると、むしろ直感や経験からくる読みなどが大事になってきたりします。
「なぜ今その活動を選んだのですか?」
と聞かれた時、上手く言語化できればいいのですが、「う〜ん、そんな気がしたんだよね」と答えてしまうこともあります(笑)
そこが難しさでもありますが、同時に面白さでもあります。
「今ここ」で起こる予測不可能なことが起こす学びを。
これに対し、マニュアルティックなワークショップは、決められた枠の中で順番通りに進める安心感があります。(ただし、参加者の状態を見て様々脱マニュアル的に調整しているところは当然あるとは思います)
アクティビティを中心としたワークショップのファシリテーターが難しいと思われる理由は上記に書いたように、
・言語化が難しい
・経験を積まないとなかなか場が成立しない、故に取り組むのに躊躇する
・今自分がどれだけ力がついたかが見えにくい
・成果や日常化が見えにくい
などが考えられます。
言語化すること、経験できる場を増やすことなどをして、この難しくも楽しいWSを進めるファシリテーター仲間を増やしたいと思っています。
アイスブレイク雑感②
アイスブレイクで何をときほぐすか。
・ファシリテーター自身の気持ち
・参加者の気持ち
・ファシリテーターと参加者の関係性
・参加者同士の関係性
だそうです。
ワークショップの目的や内容によって、上記の比率が変わっていくのだと思います。
ポイントは”ファシリテーター自身の気持ち”も含まれているところ。
人前に出て何かをするわけですから、緊張はあると思います。
ただし、矢印の向きが自分になりすぎないよう(自分のためのアイスブレイクにならないよう)自分を客観視できるくらいの気持ちの余裕は持ちたいところです。
また、アイスブレイクの要素は
・まずは口を開けること(話すこと)
・お互いの簡単な自己紹介/名前を知る
・場に馴染むこと、WSという場を知る
・学びの雰囲気、規範づくり(必要な緊張感を残す)
・笑いやユーモア
・プログラムへの期待感を高めたり、プログラムの核心につなげる
・”いまここ”で起きたことを扱う
などが考えられます。
WSはいかに参加者主体の場をつくっていくかが肝なので、ファシリテーターはfoldするポイントを押さえながら、上記のことを参加者と一緒につくっていくことを心掛けます。
プログラムの入り口となるアイスブレイクは、その後の本プログラムに参加者が心配なく安心できるよう進めていきます。
せっかくよいプログラムであっても、最初のアイスブレイクでつまずくと、その後に挽回の時間が必要になり、本プログラムにも影響してきてしまいます。
たかがアイスブレイク、されどアイスブレイク。
場合によっては数分〜数十分の時間ですが、WSの正否に大きな影響を及ぼす活動だと思っています。
ファシリテーターの立ち位置
プログラム中、どこに立ちますか?
”.ファシリテーターの言動には必ず意図を持つ”ということを、これまでたくさんのファシリテーシターから学んできました。
例えば、ワークショップの一番最初。アクティビティを使ったワークショップではお馴染み、輪になって始める場面。
輪になる前から参加者の情報をキャッチし、雰囲気を持っていそうな人の隣に立つ、ということをしたりします。
(アクティビティのデモンストレーションのお手伝いをお願いするために。その人の雰囲気や言動で場が和んだり、笑いが起きたりします。ファシリテーター一人が頑張るのではなく、参加者と一緒に場をつくる、というメッセージにもなります)
また、グループが真剣に課題解決に取り組んでいる時。
その時はそっと見守れるよう、少し距離を置き、離れた場所に立ったりします。
あくまでも一例ですが、プログラムを進めていくうえで、ファシリテーターが「どこに立つか」一つで様々な影響が出ます。
どんなプログラムのどんな場面でどこに立ちますか?
その姿、見られています。
ファシリテーターとして(人前に立つ何かしらの場合すべてに当てはまること)人前に立つ時、その言動には神経を使います。
自分の思考や言葉遣いのクセはなかなか抜けないもの。
特に、無意識的にしてしまうノンバーバルコミュニケーションは、言葉によるコミュニケーション以上に影響を与えることが心理学上常識です。
・自分の立ち位置
・参加者との距離の取り方
・身体の姿勢
・表情
・アイコンタクト
・身振り手振り
などなど、チェックしたい項目は多岐に渡ります。
そして、圧倒的に参加者にはそのクセを見抜かれてしまっているということも、認識しておかなければなりません。
テクニックではないので、これらを鍛えるにはプログラム中だけ意識するのではなく、普段から気を配ることが大事です。
また、忌憚のないフィードバックをくれる他者の存在も、自分の気づかない部分に光を当ててくれます。
見られる場を体験することでしか自身の成長はないのですが、ヒリヒリ痛い体験もたまにはあります。
躊躇する人も多いですが、そこはエラーオッケーの環境の中で、相互に学び合えるような環境の設定をファシリテーターとしてつくっていきたいと常々考えています。