レジリエンススキル「今ここ」

レジリエンススキル〜今ここ〜」

 震災からまもなく6年。

こころの回復について自分の体験したこと、感じたこと、考えていることを投稿します。

(以前facebookで投稿したもの)


 災害時に限らず、逆境に立たされた時に、こころをどう回復させていくかの一つの事例となれば幸いです。

 

 震災後、失った過去(物・人・故郷・思い出)に思いを巡らせる日々が続きました。
 それと同時に、「この先どうなってしまうのだろう」という未来への暗然とした不安が心を覆っていました。
 気持ちが過去と未来の間を行き来し、ただただ不安な毎日を過ごしていたのを覚えています。
 人と話をすると、ついつい言葉に出てくるのはその不安感。話をすること自体はケアのために必要なことですが、繰り返しになるとそれはそれでお互いにとってしんどい時もありました。

 

 ある仮設住宅の集会所での話しです。

 その仮設集会所でも、大変な喪失感を持った方々が自分の思いを友人やボランティアの方々に打ち明ける光景が見られました。
 そうした状況の中で、ある取組みが始められました。主にお母さん方でしたが、震災によって使えなくなった漁網を使って、ミサンガを作り始めたのです。
 作業に集中している間は、震災の話も、先の見えない未来への不安もほんの一時忘れる時間になったといいます。
 また、「ここ、なじょすんの?」「こうすんだっちゃ!」など、作業をしているからこそ生まれる何気ない会話に笑い声が生まれたり、人との関係が生まれたりすることもありました。
 

 災害があってから大切なのは、できるだけ早く非常事態・非日常生活から日常生活へシフトチェンジすること。


 そのための一つの方法は、日常的に夢中になっているもの、好きなことに没頭すること(今ここを感じる)ではないかと思います。

それは何も特別なものではなくていいと思います。(読書、ジョギング、手芸、料理etc・・・)

 

 日常的にしているもの・好きなことをして、「今ここ」に没頭すること。
見方を変えると、それ自体が自分の心を回復へ向かわせるレジリエンススキルとなっている、そう感じています。

アイスブレイク雑感①

ワークショップの最初に導入する活動をアイスブレイクと呼んでいます。

しかし、このアイスブレイクが時と場合によってはアイスメイクになることも。

 

ワークショップの冒頭に2、3アクティビティすれば、とりあえずアイスブレイクになるという誤解があるような気がしています。

(4月頭だけに学級づくりとして使われるパターンも同じ)

 

しかし、そんなことは当然なく、(まれにはあると思いますが)その時々の様子を見ながらその時に相応しい活動を選ぶことで、徐々にブレイクしていくものなのです。

だから、むしろアイスブレイクはワークショップの間中ずっと行われている、といってもいいかもしれません。

 

また、アイスブレイクの成立には、参加者のモチベーションも大きく影響してきます。(こちらの方が影響が強い)

基本、自分で希望しお金を払っても参加したい!という人たちはいいのですが、不本意な参加をしている方の場合、アイスブレイクは非常に難しくなってきます。

 

良くも悪くもモチベーションによってアイスブレイクは大きく左右されてしまうなと思います。

 

不自然な活動で無理矢理アイスブレイクさせられそうな雰囲気ほど、参加者にとって息苦しいものはありません。

 

結果として気づいたらいつの間にかブレイクしてたね〜。という状況をつくりだすために、アレコレ働きかけをしていきたいなと思っています。

 

 

 

ニーズアセスメント

参加者が「何を」学びたいと思って参加しているのか。

プログラムを展開するにあたり、ワークショップの始めにこれをつかむことが大切です。

 

ニーズは参加者自身が気付いていないレベルのものもあるので、”どんな問いを立てるか”や、話しやすい環境設定(道具を使うとか、グループサイズを工夫するとか)などがファシリテーターには求められます。

 

先生向けのアクティビティを使ったワークショップを開くことが多いのですが、上記のことを考えながら進めています。

 

例えばこんなニーズがあるとします。

1.「アクティビティを学びたい」

2.「アクティビティから学びたい」

3.「アクティビティを通してファシリテーションを学びたい」

4.「アクティビティを教科教育の中に入れるにはどうしたらいいかについて学びたい」

などです。

 

例えば、1のニーズであれば、リフレクションの比率を下げ、ともかくアクティビティを数多く提供するでしょう。

 

ニーズは、どれか一つというわけでもないし、活動しながら変わっていくニーズもあると思います。

それに応じ、ファシリテーターは柔軟にプログラム展開していきます。会話のフレームなどもニーズの変化に合わせて変えていく必要が出てきます。

 

 そのためには、

観て、聞(聴)いて、感じて。

参加者の「今」をキャッチしていくことが大切です。 

 

グランドルールはファシリテーターが提示する!?

ワークショップの場を安心安全な環境にするための方法の一つに、グランドルールというものがあります。

 

ファシリテーターやその会の主催者がプログラムの始めに紙やボードに書いて提示し、説明することが多いです。

(それがないと場がどうなってしまうか、の不安から提示するという人もいます)

 

(そのワークショップの目的にもよりますが)ただ、もし時間的な制約などがある程度自由にきくのであれば、これを参加者から出してもらうのがいいなぁ、と思います。

 

それにより、参加者のそうした場に対する経験や期待、ニーズなどもつかめるからです。

最初の会話のきっかけとして、アイスブレイク的な要素も入りますし。

 

決まったプログラムではなく、参加者の状態を知ったうえで会を進めていくタイプのワークショップでぜひ取り入れてみて欲しい考えです。

エッセンスを抽出する

今の子どもたちは遊び方を知らないとよく耳にします。特に集団での遊び。

 

休み時間の様子を見ると、ドッジボールや鬼ごっこなどはしています。

勝つか負けるか系、運動能力がものをいう系の遊びはするのですが、そこにいる全員がそれぞれの能力で参加を選べたり、一人ひとりに配慮がある設定の遊びはあまり経験したことがないのかなぁ、と見ていて思います。

 

子どもたちからそうした遊びが自発的に出るといいのですが、昔に比べ異年齢交流がなかったり、遊びの経験が少ない子供たちから出てくるのはなかなかない。

 

集団遊びに関しては少し大人がきっかけを作ることも必要かな?と思う今日この頃です。

 

その時にヒントになるのが、昔遊びやアクティビティ。

 

アドベンチャー教育分野で使われているアクティビティはもともとは様々なフィールドで使われていたものが多いのです。

 

アクティビティの要素を分析して見ると、安心安全な環境をつくりながら楽しめるエッセンスが含まれていることに気づきます。

 

それらのエッセンスを既存(ドッジボールや鬼ごっこにも)の遊びに応用してみる。

そうすることで、そこにいる誰もが自分なりのかかわり方で楽しめる遊びに変わっていくのを実感しています。

 

アクティビティをそのまま使ってみるのもいいですが、エッセンスを取り入れる視点を持つことで、汎用性が高まります。 

 

 

 

 

 

防災とレジリエンス

震災後、心の復興に関する研修会に参加してきました。

その中で、ある研修会で聞いたフレーズをよく覚えています。

”私たちは日常的にセルフケアをする習慣がなかったり、それを意識して生活していない”

 

何か自分の心が大きく負の方へ振れた時、どんな考えや行動でその振れを戻していくか。(レジリエンスを発揮するか)

 

それぞれが自己流で、時に不適切な行動をとりつつ(暴飲暴食とか)試みているのが現状のような気がします。

 

防災のWSに参加することも多いのですが、緊急期のことを考える(備蓄食料どうするや避難所運営どうするなど)ものはありますが、日常期の心のケアをどうするか、の視点が抜け落ちていると感じています。

 

”平時にできないことは、有事にもできない”

物の準備に限らず、心の面でも言えること。

 

何か新しいことを始めるのでなく、今ある自分の日常の行動をレジリエンスの視点からリフレクションすること。

 

そうした視点で日常を見ると、好きなことをしたり、身体を動かしたり、誰かとおしゃべりをしたり。

日常的にしている当たり前のことが、実は自分の心を支えていることに気付かされます。

 

 

 

readynessをつかむ

活動(アクティビティ)を実施する際に、どんな視点を持って活動を選ぶか。

 

心や身体の準備、またはその活動をやり遂げる身体能力、認知能力、発達段階などに配慮して活動を選びます。

 

例えば、アクティビティ中に使うソーシャルスキルが多いほど、活動難易度はあがります。

「誰とでもいいのでペアになる」という活動をしたとします。

そこには、「選択(誰を選ぶか)」「決定(誰に決めるか)」「主張(お願いする)」「妥協(あきらめる)」「受け入れる」などが内包されていたりします。

 

普段からの様子を見て、「なぜ」するのかとともに、「何を」対象者に「どう合わせて」提供していくかを考えることは、安心な学びの場をつくっていく上で大事な要素だなぁ、と思います。

 

ついつい、遊びの場だとそうしたことを忘れてしまうんですけれども。

 

提供したアクティビティをグループが達成できなかったり、イマイチ乗らなかったりした場合、readynessの視点から活動を見直すクセをファシリテーターとして常に持っていたいです。