アイスブレイク+α

 ワークショップの冒頭に組み込むアイスブレイク、その後の本題へとつなぐ意味合いも持たせると、学びに広がりが生まれます。

 


 では、どんな要素を含めたアイスブレイクがあるのか。

以下にまとめてみました。

 


①多様性

②視点を変える

③伝え方

④受け取り方

⑤情報の共有

⑥エラーオッケーの安心な場作り

⑦協力、協働

⑧簡単な合意形成

⑨コミュニケーション

⑩創造する

 

まだあるかな...?


 ワークショップの目的に応じて、これらの意味を含めたアクティビティを、難易度やグループサイズにも配慮しながら行っていくと、アイスブレイクしながら、プラスαの効果が期待できます。

口に二画足すと?

めちゃめちゃ使い勝手の良い、それでいて誰に対しても簡単にできて(多分小2くらいからオッケー)、時間もかからないオススメのアクティビティを一つ。

 

「人と一緒に学ぶことの意味」に落とし込むこともできるし、実施後に調べ学習につなげることもできるし。

なので、調べ学習の導入でも使えます。

国語の授業開きにも。

 

以下詳細。

「漢字の口+二画」アクティビティ。

 

大体制限時間2分で出来るだけ多く出す、という設定でします。


①個人で探す

→その後、「何個見つかった?」だけだと、個人間の競争や能力に焦点があたります。

いわゆる"やって終わり"状態です。

 


②個人で探す→共有する

だと、お互いに見つけてなかったものが知れるので、「あ〜、それもあるよね」などの声が出ます。

更に、例えば誰かが「甲」の字を発見していたら、じゃあ「申」や「由」もあるよね?などのアイデアの触発が起きます。

 


③体験後に、「なかなか出なかった後の次に出た漢字は何ですか?」と問いかけることで、例えばアイデアの創出にはどこかでブレイクスルーが必要だという気付きにつながる場合があります。

例:

田、目など、口の中に二画を探している

→白、石など口の外に二画を探すブレイクスルーが起きる

 


④体験後に、「今の活動を踏まえて、新しい漢字を作りましょう。」と問いかけることで、例えば"新しい"をつくるには既知の情報の組み合わせが必要なことや、そもそもある程度の知識がないと新しいものは作れない、などの気付きにつながる場合があります。

 

⑤最初に、「例えば目や田がありますよね?」のように説明することで、それがフレームになることも。ファシリテーターが学びを促進するために、どんな言葉を示すかを考える機会に。


アクティビティを実施するときは、場の目的や参加者の状態を考慮したうえで、多様な観点のどこを強調したいかを考えて、どんなアクティビティを設計するかが大切になります。

 

それによって学びの方向性が変わってしまうこともあるので。

 

 

 

 

 

 

 

 

アイスブレイク雑感③

前回の投稿から7年の月日を経て...。

 

先日の土曜日に青木将幸さんをお招きして、仙台でアイスブレイクのワークショップを実施しました。

 

そこで、あらためて今の自分の考えやらを整理したくてここに書き記しておきます。

 

各種ワークショップを実施してるので、バリバリと現場でもやっているのでは?という印象ありかもですが、実は、自分の小学校現場では最近アクティビティらしいアクティビティをしていなくて。

 

アクティビティはとても便利なもので、こちらが見極めを適切にし、場や関係性にあったものを提供すれば、それはそれは構成的に効率的に

事が進みます。

 

元々は、時間の限られたワークショップなどの場で、その時間内での学びの最大化のために、急速にその場の空気や関係性を整えるためのものなんだと思います。

 

それをそのまま教室で実践しなくてもいいかな、アクティビティを通さなくても、(こちらから意図的に働きかけなくても)時間をかけてゆっくりとほぐれるものはほぐれる、ほぐれないものはなかなかほぐれないこともある、みたいな考え方になってきたので、あまりやらなくなってきたのかなと。

 

強烈な力を持つツールだからこそ、取り扱いは気をつけたいな、と。

 

必要なときの手段の一つとして持っておきたいとは思いますが、出しどころ、気にしていきたいと思ってます。

自分が体験していないものを提供する時の視点

 本を読んで、自身が体験していないアクティビティを使う場合に気をつけたいこと、あれこれ。

①アクティビティそのものが目的になり、参加者のニーズや課題が蔑ろにされないようにする。

例:仲間づくり活動を行おうとしたが、そこに参加者のニーズはなく、むしろ仲間割れ活動になってしまった。


②アクティビティの結果だけを重視する。

(勝ち負けなどのルールに支配された活動)

→意味付け、振り返りなどの教育的意味がないと、勝った負け思考になりがち。トラブルのもとにも。


③活動レベルが参加者の年齢、発達段階、グループの発達段階や感情レベルに合っていない。


④活動のタイミングが合わない。

(長くやりすぎて逆にモチベーションを下げてしまう)


⑤活動がその場かぎりで終わってしまい、学びにつながらない。

(体験あって学びなし状態)


⑥メンバーが活動への集中を欠いているのに続ける。


⑦やり方や課題に対して、ファシリテーターが過剰に介入しすぎる。


⑧何をしているのか、何のためにしているのか、参加者が意味を理解せず活動に参加している。


ファシリテーターが、活動中に何が起きているのかプロセスを意識せずにアクティビティ行うことで、グループメンバーの課題を認識できない。

→どんなニーズがあるのか、どんな課題があるのか、その課題を課題として認知しているのか?など。


 やはり体験学習なので、自らが体験したものを自分なりに咀嚼して提供するスタイルがいいような気がします。


 実際にやる前に、練習の場があるとなお安心安全に本番を迎えられそうですが、アクティビティに特化したファシリテーターレーニングを受けられる場が少ないのも現状です。

 

 

 

 

 

 

アクティビティの材料はそこかしこに

なんじゃもんじゃ編〜

 本や自らが体験した既存のアクティビティをそのまま提供するスタイルももちろんありですが、アクティビティを自分なりにデザインする視点があると、様々応用できます。


 ただ、どんな時でもまずは目的が大事です。そのうえで、遊びがもともと持っている構造を利用してアレンジをします。

例えば市販のカードゲームに「なんじゃもんじゃ」という物があります。


 山からカードをめくり、面白おかしい名前をつけ、カードをめくるたびにその名前を早く言った人の勝ち、というルール。


この名前をつける、という構造を使い、アレンジ。

【ルール】
①2グループに分かれてやります。

②それぞれのグループに5枚ずつ、同じカードを配ります。

③それぞれのグループで5枚のカードに名前をつけます。

④片方のグループが一枚だけ、カードを見せずに名前だけ紹介します。

⑤もう一方のグループは、手元にあるカードの中からどのカードにその名前をつけたか想像して、答えを予想し、発表します。

⑥これをグループ交互に5枚分行います。

 

 基本の遊び方に比べ、人とのかかわりがより生まれます。

 また、観察や推測、話し合いの中での合意形成など、様々なソーシャルスキルが体験できます。


 もとのアクティビティをサンプルに、アクティビティにアレンジを加える視点を持つと、様々な場合にアクティビティが使えるようになります。それはやがて例えば学校だと、教科教育の中にアクティビティ要素をどう取り入れるか、という視点にもつながります。

みんなという幻想

 アクティビティを考える際には、みんなが同じように楽しむ、楽しんでいるはあり得ない、という前提に立つことが大事です。


 その場で何を楽しいと感じるは人それぞれ。

ファシリテーターはその比率をあげることは出来ますが、当然100%はないので、逆に楽しめていない雰囲気の人がいたとしたら、それをどうアセスメントするかが大事です。


・目的にあっていたのか?

・心と身体の準備はできていたのか?

・そうした反応の背景は?

などの視点に立って。


 それぞれのチャレンジでその場にかかわる、そのかかわりでオッケーが出せる関係性・場だと居心地がよいなあと思います。

体験から失敗オッケーを学ぶ

 アクティビティを提供する際にまず考えたいのは、あえて失敗を誘発するようなものを行うということ。

 ワークショップの初めの方に漂う参加者の不安感を、アクティビティを通しておこるエラー、それを笑いで包み込むイメージです。

 


 なので、アクティビティのイントロダクションで、ファシリテーターがあれこれ手回ししすぎると、失敗してはダメな雰囲気をつくってしまいます。


 エラーオッケーの安心な環境を、体験を通して認知してもらいます。

「間違えてもいいですよ」などの声がけによる認知アプローチだけで人の認知を変えるのは難しいです。

 


 大事なのは、アクティビティを通して何を学んで欲しいか。

例:

失敗しないようにすること?

多少の失敗を「あはは、おほほ」と笑い飛ばせるマインド?

失敗を過剰に恐れない態度?

失敗を責めない関係?

 

何が起こるか分からないところに楽しみがあり、エラーオッケーの環境をファシリテーターが整えることで、そこに安心安全の学びの環境が整ってきます。

また、エラーを学びの機会につなげることが、ファシリテーターには求められます。